2012年5月17日木曜日

コンピュータの遍歴(その2)

前回は、1985年までのコンピュータ環境などを紹介した。1985年以降の遍歴を語ろう。

保兵衛は勤務先のエンジ会社から名工大へ国内留学という名目で、博士課程に派遣され、修士のときと同じく山田研究室で研究をすることになった。研究テーマはポリマーの輸送物性取得とこれを利用した拡散移動現象の解明というテーマで、ほかの化学系研究室では3年で学位取得できるところ、化学工学系のほぼ標準的な5年を要してようやく1992年に学位をとることができた。この研究テーマの投稿論文のひとつに有限要素法による流体解析(物質の拡散を考慮)を、コード開発からグラフィック表示まで100%手作りでコードをFortranで開発した。流体解析であり、当時のFujitsuのスパコンを利用し、ベクトル計算機に触れることができた。1990年代のスパコンは、現在2012年のIntel i7 CPUより計算速度ははるかに遅い。それだけPCのCPUチップの発達が凄かった(まさにムーアの法則どおり)。研究テーマで物性を測定する実験をするとき、NECのPC98マシンでデータのミリ秒間隔でサンプリングするAD変換、PC制御ボードを自作し、アセンブラでコードを書くなど、ハード・ソフト面で大いに勉強になった。



学位取得し、会社に復帰した1992年ころ、PCの世界にDOS/Vマシン(どすぶいと称す。IBMのPC-AT互換機)と呼ばれる現在のPCの初代が出回り始めた。当時の386CPUまではNECのPC98シリーズで経験していたが、486CPUになってDOS/Vマシンを保兵衛も購入した(当時の金額でCRT含め50万円ほどした)。OSはWindows 3.1、アプリはLotus 123とかAmiproとか、一太郎もDOS/V版があった。Excel/Wordも出始めた頃で、まだまだ発展途上の感が強かった。会社でもPC98シリーズが依然主流であった。またネットワークが社内に張り巡らされ、メールや掲示板が流行りだしたのもこの頃のことで、DOSコマンドによる起動などが主体であった。

そして1995年のWindows 95の発売により、マイクロソフト、DOS/Vマシン全盛時代を迎えることになる。Windowsの原型ともいえるGUIを備えたApple社のMacは個人ユースに限定され、保兵衛自身は利用したことがなく、また会社でも台数は限定的であった。社内のMac愛好者に、流体解析のグラフィック画面を何十枚とCaptureし、これをつなぎ合わせて、ビデオに変換してもらったことがある。Unix系のBeOS(ビーオーエス)もMacスタイルを継承していたと思うが、この頃のことと思う。

会社ではWindows 95以外にWindows NTサーバを用い、社内ネットワーク(イントラ)を企てたのもこの頃のことで、サーバー上にデータベース、ホームページを構築し始めた。個人的には家でLinuxの勉強をし、フリーのOS、Postgres、Mysql、Apache、Sambaなどフリーのソフトやネットワークソフトを数台で組んだりして遊んでいた。

一方、PC用のCPUも486、Pentium、Pen 2、Pen 3、Pen 4、(Pen Pro)、Dual Core、Quad Coreと変遷を重ね、16bitから32bit CPUへ、つどDOS/Vマシンを自作し、改造した経験がある。HDDの容量も爆発的に巨大化し、10年前とはまったく様変わりしている。CPUのPen Proは現在のXeonの前身で系統がやや違うかも。

CPUや周りの環境は以上のとおりだが、エンジ会社では大型計算機からダウンサイジングで現在はPCが主流マシンとして採用されている。またWord/Excelといったオフィスツールが全エンジニアが使える環境にある。一方汎用のこうしたアプリでは、エンジ業務に間に合わない分野が依然として存在し、こうした分野の業務を実施するには、自分でコードを描き、ツールを作り、結果を出すことをしなければならない。汎用のプロセス・シミュレータや市販の流体解析ソフトでも間に合わない業務がやはり存在している。

保兵衛はこうした業務を、学位取得した1992年以後およそ20年間、主に遂行してきた。使用する言語はFortranを用い、あるときはBasic、ExcelのVBA、あるときはC、C++、Javaも適度に混ぜながら前人未踏の分野に挑戦してきた。Fortranでいえば、DOS時代のマイクロソフトのMS-Fortran、その後のPower Fortran、DECに移行したDEC Visual Fortran、後継のCompaq Visual Fortran、そして現在のIntel Visual Fortanを代々利用してきた。

保兵衛の「草花是華」は、コードを描き、バグを発見したときの「やったぜー」感、だれも今まで経験したことのない化学反応解析や反応器解析のとき、真理を追究して行ったときの「新発見」や驚きや納得感を記録しておくことを目指している。またFortranを使い、現在のマルチCPUを利用した並列化プログラミングを化学工学の計算分野に導入したいという夢の実現を目指している。

今日の話は後半、端折ってしまい、別の機会があれば追記したい。

0 件のコメント:

コメントを投稿